ネオ・ヴェネツィアからの手紙

アニメ・漫画など、ネタバレ・考察を含んだ記事を書いていきます。実況・各話の感想はtwitterにて。

【感想】日常とスロウスタート

 
―前略
桜も咲き始めたと思えば散ってしまい、
涼しい風に強い日差しと、なかなか春を満喫できない天気が続いています。

いやし、と申します。
 
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春を感じづらい昨今のお天気ですが、
私は最近、どこか気分がいいです。
 
 
なんでだろうと考えるのですが、
その要因のひとつに、スロウスタートは間違いなく含まれています。
 
日常系アニメで特にありがちな「喪失感」。
 
 
プロの日常系LOVERなら、
それに打ちかつ訓練を積み、その痛みすら快楽に変えるドM根性を身に着けているはず。
もちろん私も、そのひとりです。
 
 
スロウスタートが終わってしばらく経ったいま、
そんな私が、なぜこんなに清々しい気持ちなのか。
 
いくつかのシーンをピックアップして、
この気持ちを伝えられたらなと思います。
 

目次

 

3話 「なみだのぽろぽろ」ー 花名ちゃんのなみだ


主人公の一ノ瀬花名ちゃんは、おたふく風邪により高校受験のテストを受けられず、中学浪人を経験してから、高校に入学しました。また、浪人であることを隠しやすくするために、中学の頃とは別の地域で、一人暮らしをしています。そのため、どうクラスのみんなと接するべきか悩んでいました。

そんななか、自己紹介の日がたまたま誕生日だったので、そこで声をかけてくれた、たまちゃん、栄依子ちゃん、冠ちゃんと仲良くなり、一緒に学校生活を過ごすことになります。この3話は、ゴールデンウィークに花名ちゃんの部屋で勉強会をしようとなり、花名ちゃんの一人暮らしの部屋に、はじめて遊びに来たときの話でした。


はじめて部屋に遊びにきてくれるので、花名ちゃんは頑張って歓迎用の花輪をつくります。

でも、ちょっと恥ずかしくなって、玄関にしか飾りません。


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部屋のなかで勉強をしようとする前に、
栄依子ちゃん、冠ちゃんから、改めて誕生日プレゼントとケーキをもらいます。

たまちゃんの誕生日が5月なので、たまちゃんも一緒に祝ってもらいます。


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そのときに、たまちゃんが
”同い年ですねっ、花名ちゃん。”
と、ふいに、花名ちゃんに微笑みかけます。




しかし、中学浪人で、同い年ではないので、
素直に笑えず、涙をこぼしてしまう花名ちゃん。











ふっと消えるBGM。












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このシーンに至るまで、
”引っ越したばっかりだから、こんなに部屋にものが少ないんだ。” と聞かれるなど、浪人であることをごまかさないといけない場面は他にもありました。
※浪人時代には趣味もなく、勉強しかしていなかったので、部屋には必要なものしかありません。


それらには、辻褄を合わせるだけだったのですが、
たまちゃんの笑顔は、まぎれもなく、”同い年の花名ちゃん” に向けられたものでした。


ここで嘘をついてしまうと、
仲良くしているのは、同い年のようにふるまう ”嘘の花名ちゃん” となってしまい、
”本当の花名ちゃん” は置き去りになってしまいます。



また、同い年でないことを告白したら、
そっけなくなり、寂しかった浪人時代に戻ってしまうのではないか、と思い、
中学浪人のことも言い出せません。



そういった葛藤から、
花名ちゃんは何も言い出せなくなり、
涙をこぼしてしまいました。


















ただ、この涙の意味は、
自分が浪人であることを黙っていることへの罪悪感だけではありません。


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"やっと高校生になれた” という実感。

一年遅れてしまったけれど、
”みんなと同じ、普通の日常へのスタートラインに立てた” というよろこび。

”誕生日を祝ってくれる、一緒によろこび合える友達がいる” という幸せ。



花名ちゃんは、打ち明けられない葛藤だけでなく、
”友達がいるという、当たり前の幸せ” に改めて気づき、涙を流したんだと思います。


”友達と一緒にいて楽しい” という感覚が、
浪人時代に失われていたものであることに気づき、


その大切さを噛みしめるように、
”ありがとう。。ありがとう。。。” と伝えます。









この日の誕生日プレゼントである、
花名ちゃんとたまちゃん、ふたりの「くまさんのぬいぐるみ」は、両方とも、
花名ちゃんの部屋に置くことになります。

冠ちゃんの「おきがし」も、
花名ちゃんの部屋のなかに置かれます。



もともと、
花名ちゃんの部屋には"もの" がありません。


その部屋に、みんなの"もの" が置かれて、
”もうひとりじゃない” ことを教えてくれます。


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”もの” はずっとそこにあり、
そんなに簡単には、なくなったりしません。


浪人を打ち明けられない不安を抱えていても、

それらは、花名ちゃんに毎日、
”一緒にいてくれる安心感” を与えているんだと思います。








5話「かむりのふわふわ」ー 冠ちゃんが星尾女子高校へ編入を決めた理由


中学の頃の栄依子ちゃんの写真で盛り上がるなか、冠ちゃんだけ浮かない様子です。写真をもらったときの冠ちゃんはかなりうれしそうな表情だったのですが、袋から取り出して写真を見たあとは、ずっと戸惑っている様子でした。なぜなら、冠ちゃんが中学の頃に見かけた栄依子ちゃんと、その姿が異なっていたからです。この5話は、栄依子ちゃんと冠ちゃんの関係にすこし迫った回でした。


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冠ちゃんが中学生の頃、
栄依子ちゃんらしきひとを見かけました。


冠ちゃんは近くへ駆け寄りますが、
向こうは気づくそぶりも見せません。


そのひとは声も栄依子ちゃんにそっくりです。


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その場で声をかければいいのですが、
ひさびさの再会なのか、冠ちゃんは躊躇してしまい、そのまま見過ごしてしまいます。


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その通りすがったときに聞こえた、
”星尾女子高校” という単語から、

そこにいけば栄依子ちゃんに会えると思い、
冠ちゃんは、中高一貫のお嬢様学校から、星尾女子高校への進路変更を決意します。









冠ちゃんにとって、
栄依子ちゃんは、かなり特別な存在です。
※なぜなのかはまだ判明していませんが、親にとっても特別なほど。

また冠ちゃんは、
自分から行動するタイプではありません。

その冠ちゃんが、
何もせず進学できる中高一貫への進学から、
受験勉強が必要な高校への進学を決めることは、かなり大きな行動だったと思います。


また、後日に電話で連絡をしたりせず、
親や友達から情報を聞き出さなかったあたり、

直接連絡をすることができない関係だったり、
なにかの事情があったのでしょう。


それに、志望校については、
”星尾女子高校” という単語だけでは、本当にそこを受験するのかどうかもわからないです。

志望校が確定しない時期なら、そこから変わる可能性もありますし、

志望校が確定する時期なら、中高一貫なら受験勉強はしないので、
ノウハウもない状態から、急いで受験対策を行わなければいけないです。



そういった苦労、不安を度外視して、
”栄依子ちゃんに会いたい一心” で進路を変えた冠ちゃんの行動から、
並大抵ではない、栄依子ちゃんへの秘めた想いが汲み取れます。









そして、この回想のあとには、
それが栄依子ちゃんではなく、妹の光希ちゃんだとわかりました。


そのロングヘア―が、
小学生の頃の栄依子ちゃんと同じ髪型だったのが、見間違える原因だったようです。


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栄依子ちゃんは、
”かむのほうは、小学生の頃から全然変わってなくて、びっくりしたわ。”
と微笑みかけます。


冠ちゃんはちょっとムスッとします。

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※かわいい


栄依子ちゃんは続けていいます。
”焦がれるあまりに、幻が現れたのかと思った。”

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※かわいい

冠ちゃんは照れます。




”ねえ、かむ。私がいるかもしれないから、うちの学校受験したの?”
と、栄依子ちゃんが尋ねます。


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”うぅ。。”と言いづらそうにしていると、

”学校名を出したからってそこに行くとは限らないでしょ?”
”私がいなかったらどうするつもりだったの?こんな人見知りの子が。”
などと、言われてしまいます。


心配して責めているようですが、

この言葉の裏には、
”私なら一緒にいてあげられる” という想いが、にじみ出ています。



冠ちゃんにとって、
”栄依子ちゃんに会うために受験したこと” への想いはとても強く、
それを認めることは、”告白” に近い意味を持つと考えられます。


もちろん会えない不安はあっただろうし、
せっかく会えても、素っ気ない対応をされる不安もあったでしょう。

そんな不安を抱えながら、
知らない人にまぎれ、同級生が遊んでいても、
ひとり受験勉強を頑張っていたかもしれません。



そう考えると、冠ちゃんにとって、
この”告白” がどれほど重要なものかは想像に難くないですし、

想いが強すぎて、言ったら引かれてしまうと思ったかもしれません。



そんな言いづらい”告白” を、
”向こうから” 受け入れてくれること。



”なんとかなったもん...”と言い返しながら、
冠ちゃんの想いもあふれ、栄依子ちゃんに抱きつきます。


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中学生のときに気づいてくれなかった不安、
ずっと会いたかった、会うために受験したこと。


その”告白” を、受け入れてくれる。


こういった出来事が、お互いの気持ちを、より深いところに結びつけていくのでしょう。








7話「ぐるぐるのてくび」ー 栄依子のアクセサリー


どんな女の子/女性とも仲良くなってしまう栄依子ちゃんは、全然なびいてくれない榎並先生に対して、毎日しつこくアプローチしています。7話では、ひょんなことから、酔った榎並先生の家にふたりきりで上がり込むことになり、いままでより距離が近くなります。その後日、先生と廊下でばったり出くわしたところから、この回を取り上げようと思います。



シーンを取り上げる前に、
栄依子ちゃんのモテっぷりを振り返ります。



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冠ちゃんはもちろん、

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クラスの女の子、

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(やばい)クラスの女の子、

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ギャルゲーのキャラを一晩で攻略など、
どんな女の子でも、簡単に攻略してしまいます。


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誕生日には、トレードマークのヘアピンを、クラス全員からもらったりしています。


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それでも、榎並先生の前では、
強気ながらも、ゆるんだ表情を見せます。



そんな栄依子ちゃんの背景を踏まえて観ると、
7話の素晴らしさが際立つように思います。








その日は花名ちゃんと栄依子ちゃんが日直で、
花名ちゃんが、先生にプリントを届けます。


プリントが一枚漏れていたようで、
その一枚を届けるために、栄依子ちゃんは花名ちゃんに声をかけるのですが、
先生を見かけたとたん、上機嫌に、先生に話しかけます。


酔った先生の家に上がり込んだあとなので、
栄依子ちゃんはどこか、いつもより強気です。


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先生がプリントを受け取るのですが、
そのとき目に映ったネックレスに、栄依子ちゃんの目は釘付けになります。


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”あぁ。いい色だろう...これ。”
と、自慢する榎並先生。


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それを放心状態で見つめる栄依子ちゃん。


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その場では、すこし不自然に感じただけで話は終わったのですが、
花名ちゃんは気になったので、栄依子ちゃんにそのことを尋ねます。


すると、
”ちょっとだけ、内緒話に付き合ってくれない...かな...?”
と、栄依子ちゃんは、花名ちゃんを校舎の外へ連れ出します。



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着いた場所は、栄依子ちゃんの秘密スポット。

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花名ちゃんは、内緒話ということもあってか、

かなり緊張して、
”何があっても私は栄依子ちゃんの味方だからね!”
と、話を聴こうとします。


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栄依子ちゃんは、そんな花名ちゃんに微笑み、
”そんな暗い話じゃないから。”
と言いながら、こう続けます。




”先生がつけてたネックレスあるじゃない? あれつくったの、あたし。”

”私、アクセサリーつくるのが趣味なのね。これ(自分のヘアピン)とか自分でつくってて。”

ー 先生は、栄依子ちゃんがつくったってことは...

”知らないと思う。”

ー じゃあ先生は気に入ったから買ったんだね。

”うん。”
 
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それから、こう続きます。




”あのね、私のつくったものを買ってくれたひと、リアルで見たの初めてでね、”

”それが先生でね... なんか、なんかね... すごく...”
 
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自分がつくったものには、
思いがけず、”素” の自分や、"好きなひとへの気持ち” が入るものです。

栄依子ちゃんは普段、なかなか”素” の表情を見せません。


また、榎並先生は、栄依子ちゃんにとって、
ただ馴れ合ってほしい関係以上の、特別な存在になりつつあります。

無意識にでも、先生のことを想いながらつくったのでしょう。


そして、あのアクセサリーは、
先生が、 ”自分がつくったとは知らずに” 付けていただけでなく、

栄依子ちゃんも先生のためにつくったわけではない のです。




"素” の自分が込めた気持ちを、
なかなか振り向いてくれなかったひとが、
”好き” だと、身につけてくれる。




しかもそれが、はじめての経験。

栄依子ちゃんは、まだ高校生1年生です。








”人生を変えるシーンに立ち会った” ような感覚を覚えました。












また、そんな話ができるのも、
聴いてくれるのが、花名ちゃんだからこそです。


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栄依子ちゃんが、アクセサリーづくりのことを話したのは、花名ちゃんが初めてです。


花名ちゃんは、この話を聞いたあと、

”よかったね... よかったね... !”
と涙をこぼして、喜んでいました。


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”私は、はじめて話したのが花名でよかったって思ってるけど。”
と話す栄依子ちゃん。


”花名ちゃんなら受け入れてくれる” と、
弱みを見せない栄依子ちゃんが、”素” の気持ちを打ち明けた瞬間でした。




”強いひとに支えてもらう” だけの関係でなく、
弱いながらも”一生懸命な気持ち" が、お互いを支え合える関係にする。

強さや賢さだけが正しいのではなく、
弱さから生まれるものもあると感じました。





また、花名ちゃんも、
中学浪人していたことを打ち明ける勇気を、
栄依子ちゃんからもらっています。


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”本当に、そうなのかな。そうだといいな。”


”初めて話したのが花名でよかった" と言われ、
そのよろこびを噛みしめながら、そうつぶやきます。









8話「はなのともだち」ー おいしそうに弁当を食べる万年さん


花名ちゃんが急いで家を出たので、志温ちゃんがつくったお弁当を忘れてしまいました。花名ちゃんのお弁当は、親が近くにいない代わりに、アパートの管理人である志温ちゃんがつくっています。そのお弁当を持て余した志温ちゃんは、同じアパートの万年さんに、お弁当をおすそ分けすることにします。メインストーリーではないですが、よかったシーンとして、この回を取り上げようと思います。


花名ちゃんにつくったお弁当を、
学校まで届けるかどうか迷っていたのか、

志温ちゃんは、万年さんを見かけるなり、
”万年さん、ちょうどよかった!”
と、声をかけます。
 
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ちょうどその頃、万年さんはコンビニ帰りで、
買ってきた飲み物が入ったポリ袋を、これ見よがしに見せつけてきます。


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※他の店には入れないけれど、5km先のコンビニに行けるようになったレベルの万年さんです。


お昼の用意はできているようなのですが、
”つくったお弁当を食べてほしい。”
と志温ちゃんが伝えると、

”花名ちゃんのお弁当を!? いいんですか!?”
と、うれしそうに答え、

”大家さん。よろしければ、交換ということで、私の昼食を召し上がりませんか?”
と提案します。
 
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だらしない生活をしている万年さんなので、
どういう食生活か想像できますが、”そうね、たまには..." と、その提案を受け入れます。


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万年さんは自分の部屋に昼食を取りに行き、
志温ちゃんの部屋へ向かいます。







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万年さんの昼食は、高級そうなお寿司。


たしかに、考えてみれば、
カップヌードルのようなものを、せっかくだからと譲るようなタイプではありませんし、

回想シーンなどを観ていると、親は大きな一軒家に住んでいるので、
だらしなくとも、貧しい生活を送るような家庭環境には思えません。



志温ちゃんが躊躇しているなか、
万年さんは”どうぞどうぞっ!” と言いながら、

志温ちゃんがつくったお弁当を、すごくうれしそうに食べます。


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子供のように無邪気にはしゃぐ万年さんに、

”なんかすいません。。”
といいながらも、うれしそうな志温ちゃん。


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万年さんにとって、お寿司が、
普段から食べているものか、めったに食べられないものかはわかりません。

でも、いいことがあったか、自分へのご褒美か、
普段より、豪勢な昼食だったとは思います。


その高級そうなお寿司を差し置いて、
こんなにおいしそうにお弁当を食べる万年さん。


その姿に、志温ちゃんの心も動かされます。





次の日の朝、花名ちゃんは、お弁当を忘れてしまったことから、
志温ちゃんのお弁当づくりのお手伝いをすることにしました。


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お手伝いをしていると、なぜか、
ダイニングテーブルには、弁当箱が3つあることに気がつきます。


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花名ちゃんがそのことを尋ねると、
”私と、万年さんの分もね。” と微笑みます。


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志温ちゃんは、あくまで管理人なので、
わざわざ花名ちゃんにお弁当をつくってあげる必要はありません。


それでも毎日つくってあげているので、
それが ”普通の日常” となっていたのでしょう。


でも、花名ちゃんがお弁当を忘れ、
万年さんが、目の前でうれしそうにお弁当を食べてくれたことで、

”つくってあげることのよろこび” を思い出し、
せっかくなら... と、万年さんのお弁当もつくることにしたんだと思います。





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この日から、毎日一緒に、
どこかでお弁当を食べるようになったのかもしれません。


この笑顔は、おいしそうに食べてくれる万年さんの顔を想像して、
微笑みを隠せずにいるのでしょう。


毎日お弁当をつくってくれる。
当たり前のことではなく、”ありがたい日常” なんだと、気づかせてくれます。







11話「トマトのまつり」ー 花名ちゃんのお願いごと


夏休みがはじまり、みんなと離ればなれになってしまうことに寂しくなってしまう花名ちゃん。でも終業式の次の日には、すでに神社の花火大会の予定が入っています。その日は、たまちゃんの家で着付けをしてもらってから、浴衣で出かけることになりました。クラスのみんなや先生とも出会いながら夜店などを楽しみ、最後は4人で、クジで当たった花火をするために、河原へ向かいます。


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”みんなで花火とかひさしぶり。”
と、みんな、花火をするのはひさしぶりのようです。


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落ち着いてきたタイミングで、たまちゃんが、
途中で寄った神社で、どういうことをお願いしたのか尋ねます。




”たまは?” と聞かれると、

”世界が平和になりますように!”
”お野菜の値段が高騰しませんように!”
”限定ライブ当たりますように!”
”これからもみんなで、楽しくよろしくやれますように!”
 
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と、得意げに、たくさんの願い事を語りだします。



”多いなぁ~” という栄依子ちゃんは、

”口に出すと叶わないっていうじゃない。”
と、自分の願い事を話してくれません。


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”じゃ、私もひみつ。”
と、冠ちゃんも願い事を話そうとしません。


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悲しくなってきた たまちゃんが、

”は、花名ちゃんは教えてくれますよね...?”
と尋ねます。


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花名ちゃんはうなずき、

”あっ、でも、お願い事はしてないっていうか...”
とつづけます。


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”お礼したの。ありがとうございます。って。”


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”いまの学校でみんなと友達になれて、毎日楽しいから。”


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願い事はあるはずなのに、それを上回る、”いまが楽しい” という気持ち。

それを神様へ伝えようとする健気さ。心からそう思っているような言葉。








花名ちゃんは、GWに自分の部屋で遊んだとき、
”友達と一緒にいて楽しい” という感覚が、当たり前のものではなく、
浪人時代に失われていたものだと知りました。


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中学浪人時代には、
”こんな幸せを味わうことなんてない” と思っていたのでしょう。


幸せの感覚を、ゆっくり取り戻していく。


”友達と遊べるということが、どれだけ幸せなことなのか。”

そのことを想う花名ちゃんの気持ちが、
栄依子ちゃん、冠ちゃん、たまちゃん、そして、私たちに流れ込んできます。








”私もおれいする。”
と、冠ちゃんが歩き出し、


”私も行きますっ!” ”私も。”
と、たまちゃん、栄依子ちゃんも歩き出します。








花名ちゃんの健気な想いが、
”普通の日常” の大切さを、教えてくれます。











まとめ


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”どんなことでも、ひとは受け入れてくれる"
というメッセージが、

このスロウスタートには、込められているように思います。


なかなか受け入れてくれなかったり、
取りようによっては重くなる話であっても、

スロウスタートでは、
”自分から言わずとも” 受け入れてくれます。


そういった描写に、
どこか救われた気持ちになったひとは、
私のほかにもいるのではないでしょうか。


言えないことがあっても、辛いことがあっても、
いつか受け入れてくれる仲間ができる、そう思わせてくれます。




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また、いまある日常を見直し、
"身近な人がくれるもの” に目を向けることの大切さも教えてくれます。

身近に家族がいない、友達がいない、
そういう経験があるひとは、その大切さが改めて身に沁みるはずですし、
そういう経験がないひとは、いま身近にいるひとの大切さに気づける作品だったと思います。





また、原作者が女性ということもあってか、
服装や下着、学校行事などの描写や所作が、かなりリアルです。

きららアニメのなかでも、より私たちと近い距離で物語が繰り広げられることで、
作品の感動が、より”私たちの日常と近いところ” に置かれていきます。





最終回について、この記事ではシーンを取り上げませんでしたが、

普通の日常を大切にするというところから、
特別なことはせず、日常を描いていました。

感動的なBGMが流れているのに、
いつもの日常を過ごしているシーンが、スロウスタートらしくて良かったです。





こういう作品だからこそ、
私たちの日常に、スロウスタートにもらった感動が沁みわたり、
いつもよりいい日常を、最近は感じられているのかもしれません。





無理せず、いまある幸せを感じながら、
ゆっくりと、目標に歩いていけばいい、そう思わせてくれます。








放送終了後もいろんなツイートを見かけます。
花名ちゃんの誕生日(4/6)ツイートは、めっちゃリツイートしました。笑













NEW GAME!のように、
末永く愛される作品になってほしいです。


終わってスッキリした、ではなく、
終わったあとに、いろいろ語りたくなるアニメは、大体いいアニメです。



感動した部分を重点的に取り上げたので、
かなりキレイなまとめになってしまいましたが、

かわいいところとか、下ネタも好きです。
いろんなとこに飛んでいく栄依子の乳首とか。笑



みんな好きですが、推しは冠ちゃんです。
嫉妬してる冠ちゃんかわいい。




いまは、原作を読みながら、
2期がどうなるかを楽しみにしています。

5話の伏線は、原作でキッチリ回収されているので、やるかもしれません。
個人的には、それぞれの親とのやり取りがどうなるのか、期待してます。





久々に好きな作品に出会えた気がします。



それでは。